たのしいプロパガンダ

辻田真佐憲

本当に恐ろしい大衆扇動は、
娯楽(エンタメ)の顔をしてやってくる!

定価
880円(本体800円+税10%)
ISBN
9784781680088
JANコード
1920230008005
NDC分類
391
発売日
2015年9月8日
判型
新書判  
製本
ページ数
224ページ
カテゴリー
政治・社会
シリーズ
イースト新書Q

詳細Detail

  • 内容紹介
  • 目次
戦中につくられた戦意高揚のための勇ましい軍歌や映画は枚挙に暇ない。しかし、最も効果的なプロパガンダは、官製の押しつけではない、大衆がこぞって消費したくなる「娯楽」にこそあった。本書ではそれらを「楽しいプロパガンダ」と位置づけ、大日本帝国、ナチ・ドイツ、ソ連、中国、北朝鮮、イスラム国などの豊富な事例とともに検証する。さらに現代日本における「右傾エンタメ」「政策芸術」にも言及。画期的なプロパガンダ研究。

辻田真佐憲(つじた・まさのり)
1984年、大阪府生まれ。文筆家・近現代史研究者。慶應義塾大学文学部卒業。同大学大学院文学研究科を経て、現在、政治と文化・娯楽の関係を中心に執筆活動をしている。単著に『ふしぎな君が代』『日本の軍歌 国民的音楽の歴史』(以上、幻冬舎新書)、『愛国とレコード 幻の大名古屋軍歌とアサヒ蓄音器商会』(えにし書房)などがある。また、監修に『日本の軍歌アーカイブス』(ビクターエンタテインメント)、『出征兵士を送る歌 これが軍歌だ!』(キングレコード)、『みんな輪になれ 軍国音頭の世界』(ぐらもくらぶ)、『日本の軍歌 傑作選』(晋遊舎ムック)などがある。
はじめに

第一章 大日本帝国の「思想戦」
宣伝は楽しくなければならない
第一次世界大戦と陸軍の思想戦
宝塚少女歌劇に着目した海軍軍事普及部
軍国レビュー「太平洋行進曲」
プロパガンダは官民の協働から生まれた
戦争に動員された「お笑い」
日中戦争を好機として復活を図った琵琶
ポップスとして消費された軍歌
標語は射幸心を煽る手軽な啓蒙手段
写真や漫画を活用した官製グラフ誌『写真週報』
戦時下に公開された日本初の長編アニメ映画
米国人を驚かせた謀略放送の娯楽性
大東亜共栄圏観光計画
本当に恐ろしいプロパガンダとは

第二章 欧米のプロパガンダ百年戦争
プロパガンダ国家、ソビエト連邦
モンタージュを活用した『戦艦ポチョムキン』
先駆的なプロパガンダ・アニメ
前衛芸術家たちを使ったポスター
対外宣伝グラフ誌『ソ連邦建設』
プロパガンダだったロシア民謡「カチューシャ」
ゲッベルスの宣伝理論
ベルリン・オリンピックとリーフェンシュタール
二〇の言語で刊行されたグラフ誌『ジグナール』
英国人を引きつけたナチのプロパガンダ放送
ディズニーのプロパガンダ『総統の顔』
ロシアとウクライナのツイッター合戦

第三章 戦場化する東アジア
プロパガンダの達人、金正日 
金正日自ら映画をプロデュース 
電子音楽をいち早く取り入れた北朝鮮 
金正恩の国営アイドルグループ「モランボン楽団」 
意外に楽しい北朝鮮観光 
韓国のK‐POP風軍歌 
抗日をコンテンツ化する中国 
抗日戦争を追体験するテーマパーク 
人民解放軍がリリースした抗日ゲーム 
台湾で国防アニメとなった『マジンガーZ』 
東アジアの「歴史戦」 

第四章 宗教組織のハイテク・プロパガンダ
プロパガンダは布教という意味だった 
麻原彰晃のメディア戦略 
信者獲得に力を発揮した印刷物 
「彰晃マーチ」とオウムの音楽 
オウムの布教アニメ『超越世界』
テレビ出演からウェブサイト開設まで
アレフの宣伝に効果はあるか
アルカイダより洗練された「イスラム国」の宣伝戦
考えぬかれた「イスラム国」のシンボル
脅威の動画編集能力
ドイツ語やフランス語の「イスラム国」軍歌
オンライン機関誌『ダビク』
未来を予感させるSNSの利用
侮れない宗教組織のハイテク・プロパガンダ

第五章 日本国の「政策芸術」
「右傾エンタメ」論争
文化芸術懇話会と「政策芸術」
百田尚樹と『永遠の0』
荒巻義雄と『紺碧の艦隊』シリーズ
宮崎駿と『風立ちぬ』
「萌えミリ」の流行
『ガールズ&パンツァー』と自衛隊
自衛隊の広報戦略
『MAMOR』から「自衛隊の歌姫」まで
現代日本の「楽しいプロパガンダ」は未成熟
「楽しいプロパガンダ」はこれからが本番

おわりに
主要参考文献

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