にっぽん猫島紀行

瀬戸内みなみ

猫を見れば、その社会がわかる!
北海道から沖縄まで10の島々を巡る、にっぽんのジレンマ
「猫博士」山根明弘氏推薦!

定価
947円(本体861円+税10%)
ISBN
9784781650876
JANコード
1920230008616
NDC分類
645
発売日
2017年6月8日
判型
新書判  
製本
ページ数
240ページ
カテゴリー
ノンフィクション
シリーズ
イースト新書

詳細Detail

  • 内容紹介
  • 目次
世界第3位の経済大国「現代にっぽん」は、国際比較すれば、東京オリンピックを目前に控え、確かに豊かで銀座の街中の残飯を食い争う猫も見受けなくなった整除された社会環境である。
人間は、もともとヤマネコであった猫を飼いならし、ペットとして寵愛してきた。近年は猫ブームが巻き起こっているが、その裏では年間7万頭の猫が殺処分されている。人間の身勝手な寵愛と裏腹の“飼い捨て”が生んだ結果である。
猫にとっての天国は都会にはない。むしろ少子高齢化が象徴的にすすむ島々こそ猫にとってのパラダイスなのである。北海道から沖縄までの10の猫島と人々の暮らしの実像に迫ったノンフィクション!

瀬戸内みなみ(せとうち・みなみ)
作家・ノンフィクションライター
1967年広島県生まれ。上智大学文学部卒業後、会社員等を経て、現在は各メディアで取材・寄稿している。月刊『ねこ新聞』にて猫エッセイ「11匹のネコ行進曲」、月刊『Hanada』にて、船村徹の生前最後のインタビューを含む昭和の偉人聞き書き伝「わが人生に悔いなし」を連載中。
はじめに

第一章 ノラ猫の恋 福岡県・相島
猫は変わらない、変わり続けているのは人間社会
CNNが報じた「世界六大猫スポット」と〝猫界の人間〟
太くて短い一生
猫の年間殺処分七万頭
猫たちのパラダイス
「ナズナはおばあちゃんのおっぱいを飲んで大きくなったと」
ノラ犬もノラ猫もいなくなる社会は息苦しくはないか

第二章 アートと猫と夕日 香川県・男木島
「猫団子」目当てに押し寄せる観光客と人口流出
猫に餌をやってはイケナイ
「男木島にはヒメボタルがおってなあ」─伝説の島の地域再生

第三章 なぎさの家の子どもたちと夢の猫 福岡県・地島
近寄りすぎず、離れすぎず
漁村留学の光景

第四章 不思議の島の猫 宮城県・田代島
元祖・猫島を襲った大震災
柳田國男と猫神社
猫が、島とひとを繋ぐ
猫が招く幸福

第五章 島の誇りと猫たち 愛媛県・青島
島民一五人、猫が一五〇匹の島に降る雨
〝小学生妊婦〟ドキン
島は、観光地化を望んでいない
いつか島に誰もいなくなったら、猫たちは……
赤穂藩に由来する〝島の誇り〟

第六章 猫の幸せを決めるのは 岡山県・真鍋島
「働けるものが働かないと」
「毒殺事件」の余波
楽園はそこにあるものではない

第七章 暮れゆく島の猫 香川県・佐柳島
猫には海がよく似合う
「桟橋に行っております」
漁師たちは信心深い─両墓制の風習
夜が明けるまで踊った盆踊りも、今は昔
塩飽水軍の血脈

第八章 楽園の理想を掲げよ 香川県・男木島再訪
アートの島
猫が増えるのは人間がいるから
「すぐやる、全部やる、続ける」
「猫島」の最先端モデル

第九章 「天売猫」族の未来 北海道・天売島
「海鳥の楽園」の猫問題
人間の責任

第一〇章 神の島に抱かれて 沖縄県・竹富島
生まれて三日目に亡くなった
島の時間に逆らわずに

第一一章 大楠の木の下で 香川県・志々島
大楠の島
今やらなければ
「ああ、わたしはここで暮らすんだ」
青い海の風に吹かれて

終 章 山根明弘先生インタビュー 
現代人は過剰反応し過ぎ、間合いを忘れている
地域おこしには、「よそ者、若者、バカ者」が必要
「ならぬことはならぬ」島のお説教法

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