野球と暴力 殴らないで強豪校になるために

元永知宏

「歴史が勝者をつくる」なら、「暴力のないチーム」がこれからの勝者だ!

定価
1,650円(本体1,500円+税10%)
ISBN
9784781618609
JANコード
1920075015008
発売日
2020年3月12日
判型
四六判  
製本
ページ数
216ページ
カテゴリー
ノンフィクション

詳細Detail

  • 内容紹介
超メジャースポーツである野球が、なぜ超閉鎖的なのか?
“監督服従”型の野球から、”選手自発”型の野球へ
体罰による”統制”から、個々に向き合った”指導”へ
「勝者が歴史をつくる」なら、「暴力のないチーム」がこれからの勝者だ!

〈本文より〉
母校で起こった不祥事に対して、私には疑問しかない。学校関係者やOBから過剰に勝利を求められることはないし、野球の実績で進学先を決める生徒もいない。それなのに、なぜ指導者は暴力に訴えたのか。野球部OBの保護者のひとりは、私にこう言った。
「熱心に指導してくれる、いい監督さんやったんです。暴力は悪いことなんでしょうけど、やっぱりダメなんでしょうか」

〈取材対象者より〉
「暴力的なことでしか厳しさを出せないとしたら、その人は指導者とは言えないんじゃないでしょうか。」(渡辺俊介)
「大多数は天才じゃないから、その子の才能を見極めながら、あきらめさせてやることが必要だと思っています。」(田中聡)
「高校野球の監督は、〝総務部総務課総務担当〞になるしかない。カリスマになんか、なる必要がない。」(佐々木順一朗)
「東大と公立高校が強くなることが、日本の野球界を変えるきっかけになると思っています。」(喜入友浩)

〈本書に出てくる主な取材対象者〉
渡辺俊介(元・千葉ロッテマリーンズ) / 田中聡(元・阪神タイガース) / 佐々木順一朗(元・仙台育英、現・学法石川監督) / 上林弘樹(北照監督) / 船屋隆広(札幌大谷監督) / 中矢太(済美監督) / 中矢信行(元・愛媛県高野連審判長) / 三谷志郎(今治西、早稲田大学OB) / 喜入友浩(東大OB、TBSアナウンサー) / 島田裕巳(宗教学者)


〈目次〉

はじめに
 「暴力による不祥事」というニュース
 なぜ連綿と続く「暴力指導」を根絶できないのか?

第一章 「昭和の野球」と「暴力指導」の真実
 寮とグラウンドでの「鉄の掟」
 ミスは下級生全員の「連帯責任」という恐怖
 厳しさの代価こそが勝利であるという「洗脳」
 体がもたないほどの「猛練習」
 選手とコミュニケーションできない監督は手が出る
 プロでの活躍は厳しい指導のおかげ?
 名監督・髙嶋仁の熱血指導
 「鬼の澁谷」と呼ばれた監督
 朝から晩まで10時間以上の練習
 「指導者はなめられてはいけない」という思いから
 もう「愛のムチ」は通用しないはずなのに……
 暴力指導は受け継がれていく?
 初めて殴られたときは〝うれしかった〞
 
第二章 「厳しい指導」は何のためにあるのか?
 厳しい指導のメリット・デメリット
 渡辺俊介にとって厳しさとは?
 規則を守れない子を更生させるのもスポーツの役割
 理不尽な世の中に出るためには「根性論」も必要
 「プロ野球選手になれる才能」の見極め方
 甲子園球児はみんな「暴力に耐えた人間だ」という刷り込み
 リトルリーグに入れた息子からのショックな一言
 
第三章 野球というスポーツの「閉鎖性」
 「はい!」「大丈夫です!」しかない返答
 長い目で選手の成長を見守るドミニカの指導者
 選手は「勝つための道具」なのか?
 宗教学者が語る、野球界に根強い「監督崇拝」という問題
 監督も「ユニフォーム」を着るという一体感の危うさ
「監督不在」でも甲子園に行けるか?
 「閉鎖空間」は暴走を生む
 甲子園の「魔力」から逃れられない

第四章 不祥事、出場停止からの復活
 北照高校の無期限活動停止、ゼロからのスタート
 何もできない日々で気づいた「野球ができる」喜び
 なるべくみんな平等に、当たり前のことを当たり前に
 矛盾のある、辻褄の合わない指導はやめる
 「自分で考える」生徒を育てるためには?
 不祥事の翌年に入学した「最弱の世代」の奮闘
 自立していった生徒がつかんだ甲子園の舞台
 すべての指導経験が覆された、済美の地獄の1年
 「上甲スマイル」の裏にあった危うさ
 中矢太が変えていく指導、上甲正典から受け継ぐ指導
 ノビノビとした野球で甲子園を目指す
超一流選手はいなくても、粘り強く戦った
 それぞれが自分の役割を知る、成熟したチームに

第五章 「暴力なし」で強くなる!
 「暴力一切なし」の佐々木順一朗による野球
 「放任主義」と批判されようと
 選手の自主性を信じる「総務部総務課総務担当」
 説明不要の時代から、説明〝要〞の時代へ
 褒めて、叱って、また褒めて
 自分の心配より他人の心配をする選手になれ
 追い込むのではなく、心をひとつにする
 稲尾和久から学んだ「野球は楽しく
 東大は「どうせ負けるだろう」という空気が許せなかった
 94連敗をストップさせた原動力
 「たとえ負けても、納得できる試合にする」というテーマ
 強豪校出身者から感じた凄み
 「文武両道」の公立校や東大が強くなれば、野球界も変えられる
 圧倒的に不利な戦いに挑むことの意義

第六章 野球界の未来のために
 ライセンスのない野球指導における、さまざまな課題
 指針がないからこそ、指導スキルが求められている
 選手の状態を見極めること、見守ることが仕事
 スポーツをする選択肢はたくさんある
 才能を「あきらめさせる」ことが重要
 必要なのは納得できる「ロジック」と「基準」
 創部10年で日本一になった札幌大谷という「ダークホース」
 伝統のない「中高一貫校」というアドバンテージ
 全体練習は「短時間で集中的に」、自主練習は「自発的に」
 いまどきの選手たちに教えるべきは「技術」

おわりに
 普通の高校でも、暴力が起こる野球界
 佐々木朗希の登板回避から見えた「ゆがみ」
 勝者が歴史をつくるなら

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