「道徳自警団」がニッポンを滅ぼす

古谷経衡

文春砲、不倫狩り、自主規制……
なぜ、彼らは「バッシング」に奔(はし)るのか?

定価
947円(本体861円+税10%)
ISBN
9784781650951
JANコード
1920230008616
NDC分類
361
発売日
2017年12月8日
判型
新書判  
製本
ページ数
192ページ
カテゴリー
政治・社会
シリーズ
イースト新書

詳細Detail

  • 内容紹介
  • 目次
ネット社会が生み出した現代のクレーマーである「道徳自警団」。法律ではなく、道徳的であるか否かでものごとを裁き、テレビ局はもとよりスポンサー企業、雑誌社、ニュースサイトの編集部、市役所、町村役場、著名人、政治家、はては無名の個人にまで電凸、メール、FAX攻撃が容赦なく浴びせる。現在ではそれに恐れをなした有名人が発言を自粛。これこそ現在の日本の「息苦しさ」の正体そのものではないか。本書では具体例をもとに、このやっかいな現代のクレーマーとどう対峙するかの道筋を提示する。

古谷経衡(ふるや・つねひら)
1982年札幌市生まれ。立命館大学文学部史学科(日本史)卒。文筆家。一般社団法人日本ペンクラブ正会員。NPO法人江東映像文化振興事業団理事長。インターネットとネット保守、若者論、社会、政治、サブカルチャーなど幅広いテーマで執筆評論活動を行う一方、TOKYO FMやRKBラジオで番組コメンテイターも担当。著書に『戦後イデオロギーは日本人を幸せにしたか』(イースト・プレス)、『左翼も右翼もウソばかり』(新潮新書)、『インターネットは永遠にリアル社会を超えられない』(ディズカヴァー携書)、『ヒトラーはなぜ猫が嫌いだったのか』(コア新書)、『草食系のための対米自立論』(小学館新書)、『「意識高い系」の研究』(文春新書)など多数。
プロローグ 成長なきデフレ時代の申し子「道徳自警団」とは何か
近世オランダに生まれた「自警団」
「道徳自警団」の本書における定義
「道徳自警団」は何と戦っているのか
「道徳自警団」にとって「不道徳」「不謹慎」とは何か
「道徳自警団」への自主規制で息苦しくなる日本社会
「道徳自警団」への自主規制で衰退する日本経済
「道徳自警団」の論理的支柱とは

第一章 なぜネット上の「魔女狩り」が止まらないのか
緑茶が注がれたワイングラス
私が大手ブログの更新をやめた理由
「不寛容社会論」のウソ
オタクへの偏見がなくなった日本社会
「社会に余裕がなくなってきている」のウソ
中世の「魔女狩り」との共通点
「道徳自警団」は「成長なき社会」の象徴である

第二章 なぜ「不倫」報道ばかりに熱狂するのか
無名の議員が不倫報道で「人間のクズ」に
不倫報道後でも当選した山尾志桜里議員
山尾志桜里議員は、ほかの不倫議員と何が違ったのか
幸福実現党に投票した若者のおバカすぎる動機
おバカに迎合する「芸人コメンテーター」
中世並みの教養レベルに陥った日本の若者
なぜベッキーだけがここまで叩かれたのか
それが番組を放映中止にするほどの問題なのか
犯罪より「悪」の証明がしやすい「不道徳」

第三章 なぜアイドルに「恋愛禁止」を求めるのか
アイドルに「社会の縮図」を求める人々
世界的に注目されたAKB48峯岸みなみの坊主謝罪
坊主謝罪の問題点①─「坊主=反省」という誤解
坊主謝罪の問題点②─「恋愛禁止」という人権蹂躙
坊主謝罪の問題点③─日本女性に残る封建的意識
「田母神ガールズ」への失望
男性師匠の世界観をトレースする女性論客
過度な女性擁護は「逆差別」にすぎない

第四章 なぜ「巨悪」より「不謹慎」を憎むのか
「道徳自警団」が出現するきっかけとなった事件
少年時代の「微罪」を理由に職を奪っていいのか
「若気のいたり」と「犯罪」のあいだには距離がある
子どもを「小さな大人」扱いした中世ヨーロッパ
サルの赤ちゃん「シャーロット」をめぐる論争
「道徳自警団」も「お墨つき」には勝てなかった
舛添要一前都知事は本当に「悪人」だったのか
「悪人」を退場させたものの……

第五章 なぜ「高い道徳性」が求められるのか
「ちょっといい話」だらけのウェブニュース
「日本人はマナーがいい」のウソ
日本人が「道徳小話」を好む理由
プロに任せたほうがいいこともある
それって本当に道徳的に正しいですか
就職の志望動機に社会貢献を挙げる学生たち
経済成長こそが社会貢献と看破した松下幸之助
「教育勅語」は日本人の道徳観を高めたか

エピローグ 〈彼ら〉を消滅させる「たったひとつの方法」
「いらだち」が蔓延するのは経済が悪いからだ
無意味な「現状肯定」なんてつぶしてしまえ
「カネより評価」「貧乏でも幸せ」なんてクソ食らえ
「カネがあれば幸せ」という前提に立ち返れ
「平成という中世」にNOを突きつけろ
コラム① 自主規制で史実から乖離していった歴史シミュレーションゲーム「提督の決断」
コラム② アメリカ海軍事故への「忖度」でテレビ放映が延期された映画『バトルシップ』
コラム③ 「道徳自警団」がタトゥーや茶髪を異常なまでに嫌う理由
コラム④ 「ネット右翼」「意識高い系」と「道徳自警団」に相関性はあるのか

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